子供部屋をつくってあげたくてマイホームを考える家族は多い。せっかくなら、居心地よく、おしゃれな子供部屋をつくってあげたいものです。でも、成長するにつれて好みは変わるだろうし、2人目、3人目の子の性別が分からないうちに子供部屋をつくる場合もあるでしょう。そんなとき、どうつくっておけばおしゃれな子供部屋になるか、コツをインテリアコーディネーターの須長さんに聞いてみました。
子供部屋は、成長に合わせてインテリアを変えていく必要がある部屋です。好みの変化もありますが、求められる機能が変わっていくのがその理由です。空間の印象は広い部分の影響が大きいので、家づくりの際は床や壁、ドアなど広い部分を中心にベースをつくっておきます。また、小さくても位置的に目に入りやすい照明やドアノブなどのこだわりは、空間をぐっと引き立てるスパイスになるので注目すると良いでしょう。
なお、照明については1点注意があり、デザインだけでなく、機能面も満たすものを選ぶようにしてください。子供部屋での過ごし方は多岐にわたるので、遊びや勉強に適切な昼光色などの白い光と、眠りを妨げない電球色の両方の明かりを選べ、十分な光量が得られる照明がベストです。
位置は、部屋の隅々まで照らせるシーリングライトや全方向照らせるタイプのペンダントライトを部屋の中心に設けておくのが基本。将来部屋の家具配置の変化に対応しやすい位置です。どうしても取り入れたい照明では光量が足りなかったり、家具の配置変更で光が届かなった場合は、スタンドライトやブラケットなど部分づかいできる照明をプラスすると良いでしょう。
子供が未就学児のうちのインテリアについて考えてみましょう。着替えや睡眠は親と一緒のことが多いので、子供部屋はもっぱら「遊ぶ場所」。子供部屋がかなり限られた用途で使われる時期です。このころは、床面を広く使って遊びますので、なるべく家具は置かないようにします。
お絵描き用の机などは、ちゃぶ台のような簡易なローテーブルで十分。使わないときはたたんで広い床をキープします。子供が自分でおもちゃや絵本を出し入れしやすい、低い位置に収納があると良いでしょう。
おしゃれな床と言えばむく材を思いつく方も多いと思います。むく材は見栄えとサラサラとした触り心地がメリットですが、キズや足の脂による汚れがつきやすいデメリットも。取り入れる場合は、キズつきやすさや半年に1度程度自分でワックスをかける手間も承知の上で選ぶようにしてください。
一般的な合成材のフローリング材でも手軽におしゃれ度をアップするなら、ラグがオススメ。汚れたら、そのときのセンスで気軽に選び直せますし、さりげなく空間をゾーニングできますから、おもちゃを広げていい範囲を教えるのにもちょうどいいと思います。
男の子は、おもちゃを並べたり積み重ねたり、床で遊ぶのが大好き!そこで、遊びを取り入れられて、インテリアとしても素敵なラグを選んでみてはいかがでしょうか。ミニカーや電車、飛行機など乗り物で遊ぶのが好きな子には、道路や線路、街並みが描いてあるラグがあると夢中になって遊べるでしょう。
床におもちゃを広げて遊ぶのは、小学生になっても続きます。好きなスポーツが見えてきたら、そのモチーフがある空間はまさに自分のお城になるでしょう。活発な男の子で階下への足音が気になるようでしたら、防音効果の高い厚手のものがオススメ。子供が使うラグは、めくれて転ばないようにうらが滑り止め仕様になっていたり、洗濯可能なものを選ぶと安心です。
未就学児のうちは、女の子も床遊びが中心となります。3~4歳になると、さまざまなごっこ遊びができるようになります。ラグを選ぶなら、ごっこ遊びの世界観を助ける1枚はいかがでしょうか。
小学生になると、ごっこ遊びはだんだんと減少し、より複雑な想像の世界をつくるように。女の子はお友達を自分の部屋に招待して素敵だね、と評価してもらうのが大好きなので、その子の世界観を大切にしたお部屋づくりが喜ばれるでしょう。
もちろん、お客様へのおもてなしも忘れません。お友達と向かい合うには、少し体を起こす必要がありますので、床はだんだんと座る場になります。好きなところに置けるおしゃれなクッションを多めに用意してあげるのもオススメです。
床遊びの面を広くとるには、収納が大事。子供部屋に収めるものが何かを確認し、造り付けがいいのか、収納家具で対応できるのか考えてみましょう。子供が小さいうちは、一般的なクロゼットのパイプの高さだと子供が自分で使うのは難しいので、パイプに通してもう1段つくるクロゼット収納グッズなどを活用するのがオススメです。
また、小学校に上がると、学校や習い事のバッグや帽子が増えてきます。これらは壁の届く高さにフックがあると片付けやすいので、せっかくの家づくりのタイミングではプランナーに相談し、工夫できるといいですね。
壁やドアなどの建具は目につきやすく、空間の印象に強く影響します。壁紙を選ぶ場合は、比較的安価で豊富なデザインから選べるというメリットがあります。子供の好みがわからず色を迷うときは、やわらかな水色がオススメ。性別を問わず好まれる色です。
ちょっと踏み込んだおしゃれにチャレンジしてみたい場合は、シンプルなストライプ柄が取り入れやすいと思います。もし壁に黒や紺など暗い色を使いたい場合は、勉強の際の明るさが不足しないよう気を付けましょう。思い切った色や柄は、全面ではなく、一面だけ使ってみるのも手。それだけで印象はガラリと変わります。
また、定番の白や白っぽいパステルカラーのシンプルな壁紙を選んだ場合でも、ウォールステッカーでポイントをつくって個性を出す方法があります。シールは剥がせるものが多いので、小さいうちはかわいらしい柄、成長したらスタイリッシュな柄など好みに合わせて変えられます。
ペンキでの塗装を選ぶ場合は、色が豊富で、黒板塗装なども選択できるのがメリット。施工に手間がかかる分最初は壁紙よりも割高になることが多いですが、しっかり下地をつくっておけばDIYで塗り替えることも可能です。塗り替えは30回くらい可能なので、将来の好みの変化に対応しやすいという良さもあります。なお、同じ「塗る」でも、キズや汚れがつきやすい子供部屋には、珪藻土などの左官材はあまりオススメしません。調湿などの機能面に魅力を感じる場合は、機能性タイルなどを検討すると良いでしょう。
少し予算に余裕がある場合は、ドアにこだわってみるのもオススメです。1点だけ造作するのは割高ですが、最近は既製品でもクラフトメイド風のデザインが売っています。自分で取っ手を変えたり、色を塗ったりできるので、カスタマイズを楽しめます。
インテリアの相談者に壁への要望をうかがうと、小学生以上の女の子は「壁にポスターや絵、飾りなど好きなものを張りたい」、男の子は「ミニカーやフィギュアなどコレクションを飾りたい」という希望が多いように感じます。壁の色や柄はインテリアに大きく影響するものですが、ディスプレイ機能も求められていることがわかります。
「張る」を楽しみたい女の子には、ピンを刺しやすいコルクの壁はいかがでしょうか。塗装は剥げてしまうので張るのには不向きですが、マグネットでつけるというアイデアも。下地に金属を入れておく方法のほか、マグネットがつく塗装もあります。
マグネット塗装の上に黒板の塗装を重ねて、「張る」「書く」の両方を楽しむのもオススメです。また、おしゃれなガーランドや照明のコードなどを下げるのには、天井や壁の高い位置にフックをつけておくと便利。季節のイベントやお誕生会などを華やかに演出してくれます。
男の子の場合は、気に入ったおもちゃや人形などを集めるコレクタータイプの子が多いので、壁には棚や見せる収納があると喜ばれます。飾りたいものやその量により、プランナーと棚のサイズ素材、耐荷重について相談しましょう。
成長とともに好みや過ごし方が変わる子供部屋。家づくりの際は将来の変化に対応できるベースづくりをしっかりしておくのがよいでしょう。
家づくりの際の子供部屋のインテリアは、床、壁、収納、照明など大きな部分のベースづくりを心掛けて
将来の可変性を織り込んだプランニングを
将来は自分で選んだファブリックやリネンで好みに合わせたおしゃれを